11.2 英語の勉強法:長文/パラグラフリーディング
更新日 2021年6月6日
最初に、関関同立/上智MARCH/早慶/旧帝一工(除東大京大)/東大京大の合格者が使用した英語長文問題集を紹介します。
これをもとに問題集例を紹介します。ただし学校などで指定されている問題集があればそれでも構いません。
<英語長文 標準レベル 例>
- やっておきたい英語長文300(河合)
- やっておきたい英語長文500(河合)
- 英語長文レベル別問題集 3標準編(ナガセ/東進)
- 英語長文レベル別問題集 4中級編(ナガセ/東進)
- 英語長文ハイパートレーニングレベル2 標準編(桐原)
<英語長文 応用レベル 例>
- やっておきたい英語長文700(河合)
- やっておきたい英語長文1000(河合)
- 英語長文レベル別問題集 5上級編(ナガセ/東進)
- 英語長文ハイパートレーニングレベル3 難関編(桐原)
英語長文は、レベル別になっている問題集を2~3シリーズやるのをオススメします。
もちろん無理なく読めるレベルから始めるのもアリですが、できる限りで高いレベルにチャレンジして、苦労しながら読んでいくことをオススメします。
実際のところ、難関大に合格する人は、各シリーズのレベル1をやっている人はほとんどいませんでした。
逆に上のレベルをどこまでやるかは、志望校の難度次第で決めます。
長文は2巡やります。
<長文読解 1巡目>
初見で解くときは、試験だと思って辞書を使わずに読みます。知らない単語もなんとか推測しながら解きます。
慣れるまでは時間無制限で、慣れてきたら時間制限をつけて読みます。
選択問題に答えるときには、なんとなく選ぶのではなくて、可能であれば「なぜそれが答えか?」を説明できるようにした上で、選択します。
(問題は「なんとなく正しそうな選択肢」を選んでいくと点数が伸びにくいように、選択肢が設定されています)
答え合わせをするときには、辞書を使いながら、意味や和訳を勘違いしていた場所を中心に精読します。
解答の和訳を読んで、意味が理解できていたところは時間を使わなくてもいいですし、全文の和訳をノートに書く必要もありません。
⇒<8.10 「作業的に書く時間」を減らす>
読めなかった箇所、意味を勘違いしていた箇所だけを中心に精読し、読めなかった原因を把握すると最短で力がつきます。
多くの場合は、英単語の意味を勘違いしていたか、英文法の解釈を間違えたことが原因だと思います。
<長文読解 2巡目>
2巡目は少しスピードを意識し、辞書なしで、なるべく戻り読みをせずに通して読むように意識します。
2巡目は、1巡目より余裕を持って読解できる分、文章全体の構造をつかんだり、解答に至るまでの読解のプロセスにより意識を割きます。
また2巡目に解説を読むと、英単語や英文法に時間を割かれない分、より読解のポイントに集中できるはずです。
単に「英文を正確に読む」だけではなく、「設問の解答に至るまでの読解のプロセス」を解答を読んで学ぶ意識を持つと、長文読解の力がつくはずです。
「英文の意味が掴めるようになる」と「問題に正解できる」はイコールではありません。明確な根拠をもって解答できるようになることで、本当の意味で力がつきます。
単語/熟語/文法/英文解釈を使って一文を理解する力と、長文全体の主張を理解する力は全く別物です。
よくいう「知らない単語を文脈から推測する」という人は、パラグラフリーディングを手掛かりにしています。
パラグラフ(段落)の主張を抑えれば、その一文で言いたいことが推測でき、結果として英単語の意味が推測できる、ということです。
むしろ国語の能力に近いと言えます。
パラグラフリーティングが強い人は、空欄補充問題、内容一致問題、指示語を含んだ和訳などにも強くなるため、英単語量以上に英語長文の得点が伸びます。
パラグラフリーディングというとすごく難しそうですが、英文の構造のパターンは限られているのでそれを意識するだけで相当読みやすくなります。
英文の原則の構造は以下です。
英語圏の小中学生がエッセイ(作文)を書くときに、この構造を叩き込まれます。
私もビジネス英会話教室に通っていたとき、この構造に沿っていないと厳しく注意されました。
ある受験生はこの英文構造の理解で飛躍的に英語の成績が上がり「なぜこれを早く教えてくなかったのですか?」と言っていました。
「例外も多いのであまり意味がない」という人もいますが、王道のパターンを抑えて「基本はこんな構造なんだ」と抑えておくことが大事です(構造を意識すること自体が大事です)
何より、ネイティブスピーカーが叩きこまれるテクニカルな要素を、(語彙が不足するはずの)第二外国語として学ぶ人が疎かにしていいわけがありません。
この王道パターンに2つ追加して、以下の3パターンを覚えておけば、どれかに当てはまる可能性は高いです(しつこいようですが例外は多々あります)
<英文のパターン①(王道)>
・主張
・理由/根拠/事例
・結論
<英文のパターン②>
・一般的な意見
・一般的な意見の否定
・結論
<英文のパターン③>
・問題提起
・問題の考察
・結論
『結論/主張』は最初か最後にあることが多く、文章全体のメッセージを読み取ろうとしたら最初か最後のパラグラフを読みます。
3パターンのどれにはまるかは、接続詞が大きなヒントになります。
文章全体の構造がつかめたら、次にパラグラフの主張をつかみます。
まずはパラグラフごとに「要はXXXX」と自分の言葉に置き換えて短く要約してください。
パラグラフごとに要約をメモしたら、最後にバラグラフごとの要約を、全部通して読んでみます。
その長文で言いたいストーリーがつかめるはずです。
バラグラフごとの要約を全て通して読んでみて、もし意味が通らなかった場合、どこかのパラグラフの要約が間違っていますので修正します。
できれば学校や塾の先生にチェックしてもらうと確実ですが、自己チェックとしては「バラグラフごとの要約を全て通して読んでみる」という方法で要約の間違いに気付けるはずです。
要約は英語学習の要素が全て詰まった最上級に難しい学習です。
東大の英語の問題には、必ず「要約せよ」という問題が入っています。
いきなりできるようにはなりません。
30~40題ほどの英文で、パラグラフの要約を続けると段々的確に要約ができるようになってきます。
英語はルールに厳しい言語です。
よく「日本語は読むのが大変、英語は書くのが大変」と言われます。
日本語だとどれも通じますよね?
・「私はペンを持っている」
・「私は持っているペンを」
・「ペンを私は持っている」
・「ペンを持っている私は」
・「持っている私はペンを」
・「持っているペンを私は」
英語だと一つしか許されません。
・「I have pens.」
英語は文法だけでなく、文章構造についてもルールにうるさいです。
英語はルールに厳密に書かれていて、読み手に様々な解釈をさせるようにはできていません。
すなわち、英語はルールさえ抑えてしまえば、日本語よりも読むのは簡単です。(第二外国語として学ぶ場合の話です)
だから英語圏の学生は作文(エッセイ)という『書く』練習ばかりをし、日本人の学生は国語の読解という『読む』練習ばかりをするのです。
本コラムのまとめ
- ④長文読解は、1巡目はテストだと思って辞書を使わずに解き、答え合わせ時には精読する。2巡目はスピードを意識しながら戻り読みせずに読む訓練をする
- 難関大向けにはパラグラフリーディングを意識する。長文の構造パターンを覚え、要約をすることで文章全体が言いたいことを掴む。